6◆一般的に税務調査って? 税務署の事務年度は毎年7月1日から翌年6月末までの期間となっています。新しい事務年度に入ると、7月下旬頃から税務調査の依頼連絡が行われています。 税務調査は一般的に申告書の記載内容に誤りがないか等の確認のために行われます。具体的には、決算書・総勘定元帳・各種出納帳や各種管理表と、原始資料(証憑書類等)の確認です。 調査の結果、非違事項(修正事項)がなければ、申告是認(正しく処理されていると認められること)となります。◆顧問税理士の対応は? 顧問税理士がいる(税務代理権限証書を提出している)場合には、原則として顧問税理士へ日時調整の連絡が入ります。 また、顧問税理士が、申告書等へ税理士法第33条の2の計算事項等記載書面を添付(以下「書面添付」といいます)した場合には、申告書の記載内容について、実地調査の前に、顧問税理士において意見を述べる機会が与えられています。(以下「意見聴取」といいます)◆書面添付制度とは? 書面添付制度は、税務の専門家である税理士の立場をより尊重し、税務執行の一層の円滑化・簡素化を図るため制定されたものです。(平成13年度税理士法改正) この書面添付制度を活用し意見聴取が行われ、税務署担当官の疑問点が解消されれば、実地調査が省略されることや、調査期間が短縮されることがあります。書面添付制度は、納税者だけではなく課税庁においても業務効率化に繋がり大きなメリットとなっています。 記載書面には次の事項を記載します。1.提示を受けた帳簿書類2.自ら作成記入した帳簿書類に関する事項3.計算し、整理した主な事項(うち、顕著な増減事項、会計処理方法に変更等があった事項も記載する)4.相談に応じた事項5.総合所見6.その他◆税務調査は怖い? 意見聴取を実施しても、なお疑問点が残る場合には実地調査に移行します。調査日初日には、過去の経緯も含め事業内容・商流・受注発注スキームなどの聞き取りが行われ、その後、帳簿書類の実地調査となります。場合によって、工場内見学や取得資産の現物確認も行われます。 あまり良い言い方ではありませんが、「税務署は怖い、調査が入ったら必ず追徴される」と思っている方も少なくないと思いますが、実地調査を受けても申告是認となる事業者もあります。税務調査を恐れず、課税庁の見解を学習する機会であると捉え、協力することも必要でしょう。◆国民の三大義務・税の基本三原則とは? 日本国憲法においては、国民の三大義務として「教育の義務、勤労の義務、納税の義務」が定められています。所得の再分配機能として「税」は非常に優れていると思います。 大企業でも個人事業者でも事業を行う限り、社会貢献をすることが会社の存続意義であり、社会貢献が経営の目的の一つであると言っても過言ではありません。事業者がその事業を通じて何を社会に提供するのか、社会貢献の一つに納税もあるのではないでしょうか。 また、税の基本三原則は「公平・中立・簡素」とされていますが、現在の税制は、税の専門家である我々税理士にとっても「非常に複雑で分かり難い」と感じています。この基本三原則を重視した税制改正がなされるよう、各団体を通じで要望していくことも必要であると思っています。◆より質の高い申告書を作成するには? 終わりに、書面添付制度については、相談内容や会計・税務処理の判断について顧問税理士が書面に記載することにより、より質の高い申告書等が作成され、信頼性の向上につながっていると思います。 書面添付制度を活用したい方は是非、顧問税理士へご相談ください。すわほうじん 第166号 令和7年11月1日発行関東信越税理士会諏訪支部税理士 両角 美智代書面添付制度を活用しませんか?税理士会コーナー知って納得!教えて税理士さん!
元のページ ../index.html#6