101.「所得税の年収の壁」2.「社会保険の扶養の壁」3.「住民税の壁」4.まとめ「年収の壁」はどうなった?(注1)(注2)(注3)①従業員本人が所得税を課せられない年収の壁 (給与所得のみの場合)②従業員が扶養する配偶者、親族の扶養控除を受けるための年収の壁 それぞれ下記の表の様に改正されました。(抜粋)すわほうじん 第165号 (第三種郵便物認可) 令和7年8月1日発行(注2)160万円超〜201万5,999円以下では控除額が逓減します。 (注3)150万円超〜188万円以下では控除額が逓減します。 *配偶者控除・配偶者特別控除は扶養する従業員本人の所得に制限がありますがここでは省略します。(注4)<特定親族特別控除>の新設「特定親族」とは19歳以上〜23歳未満の子です。特にお金のかかる年齢のため改正前から63万円の控除が可能でしたが、子のアルバイト収入等が年103万円を超えると扶控除が0円となってしまいました。今回の改正で「特定親族特別控除63万円」を受けられる収入の上限が 103万円 → 150万円 に引き上げられ、更に150万円超〜188万円以下でも61万円〜3万円まで段階的に控除が可能となりました。☆令和7年は年末調整において上記改正が適用されますので年末調整事務が煩雑になりそうです。(注1)基礎控除イ)年収200万円以下→恒久的に95万円です。ロ)年収200万円超の場合は段階的に減額されますが複雑なのでここでは省略します。 令和7年度税制改正でいわゆる「103万円の壁」の見直しが行われました。「103万円の壁」とは、給与所得者に所得税がかからない給与収入の上限額です。また、配偶者や親族の扶養控除を受ける際の配偶者等の給与収入の上限額でもあります。年収 103万円 → 160万円 に引き上げられました。その仕組みは下記の様に「給与所得控除額」と「基礎控除額」の引き上げによるものです。<改正前> 年収103万円− 給与所得控除55万円 − 基礎控除48万円 =課税所得0円 ⬇ ⬇<改正後> 年収160万円− 給与所得控除65万円 − 基礎控除95万円 =課税所得0円配偶者控除・扶養控除配偶者特別控除特定親族特別控除(注4)(19歳以上〜23歳未満)①「106万円の壁」イ)従業員数51人以上の会社に勤務 ロ)所定労働時間が週20時間以上等の条件を満たしている場合は、年収が106万円以上(月額が88,000円以上)となると、働く人本人が社会保険(健康保険、厚生年金保険)に加入しなければなりません。なお、6月に行われた年金制度改革法で、従業員数51人以上の要件、年収106万円の要件は段階的に縮小・撤廃され、労働時間週20時間以上に該当すれば社会保険加入が必要となることが決定しました。(詳細は厚生労働省HP等をご確認ください。)②「130万円の壁」年収130万円以上になると企業の規模にかかわらず、扶養者が加入する社会保険の扶養から外れ、働く人本人が社会保険(国民健康保険、国民年金)に加入しなければなりません。なお今回の年金制度改革法での見直しはありません。所得控除額38万円38万円63万円改正前103万円以下103万円超150万円以下103万円以下 住民税非課税の上限金額が 100万円 → 110万円 *に引き上げられました。(基礎控除の改正はありません)*自治体によっては110万円以下でも課税されます。(例:諏訪市は1,065,000円) 「所得税の年収の壁」は引き上げられましたが、「社会保険の年収の壁」の影響が大きいため、手取り金額を意識する場合は注意が必要です。もちろん社会保険の加入は将来受け取る年金が増加する等のメリットがありますので、現在の手取り額のみで判断せず働けるだけ働くという選択肢もありかと思います。 また、企業側からすると社会保険料の負担も大きくなりますので準備が必要です。関東信越税理士会諏訪支部税理士 五味 敏彦扶養親族の収入改正後123万円以下123万円超160万円以下150万円以下税理士会コーナー知って納得!教えて税理士さん!
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