すわほうじん154号
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6 相続発生後、すぐに相続登記をすれば、相続人も比較的少ないのでスムーズに進むことが多いです。しかし、何代にもわたって相続登記をしていないと、相続権自体がさらに次の世代に引き継がれ、複雑な相続となることも少なくありません。複雑になると、相続登記は非常に困難です。1. 相続登記とは? 相続登記とは、相続財産のうち土地や建物など不動産の登記簿上の所有者を、被相続人から相続人に変更する手続きです。登記をしていないと、その不動産の売却をすることが出来ないというようなデメリットがあります。2. 2024年4月1日施行開始される相続登記の義務化 日本では、相続登記がされずに所有者不明の土地が増えていることが社会問題となっています。そのため、2021年4月に国会で民法・不動産登記法の改正法案が可決されました。 相続登記に関わる法改正がされると、以下の点が変わります。◆相続で不動産を取得したら、3年以内に相続登記しなければならない。◆登記義務に違反した場合、10万円以下の過料を課す。◆相続人申告登記の新設(登記義務違反の過料を一時的に免れる制度)◆住所・氏名が変更されたら2年以内に変更登記しなければならない。3. 相続登記の仕方 それでは、具体的に相続登記をするためにはどうしたらよいのか、おおまかな手順をお話したいと思います。①対象となる不動産を謄本等で確認する②戸籍等で相続関係を調査し、相続人を確定する③相続人が複数いる場合、誰が何を相続するかを決める(遺産分割協議をする)④法務局に相続登記を申請する4. 土地を手放すための制度「相続土地国庫帰属制度」とは? 土地を相続したけれど使い道がなく、手放したいけれど引き取り手もなく困っている・・・とうい方もいらっしゃると思います。そのような土地を、要件を満たせば、国に引き取ってもらえる「相続土地国庫帰属制度」が新たに設けられ、令和5年4月27日に施行されます。これは「土地を相続しないという選択肢もある」と国が示した形です。5. まとめ 相続登記が義務化された場合、今まで相続登記をしなかった影響が子や孫の代に及んでしまうことも考えられます。相続登記は、個人でも可能ですが、手続きには手間がかかります。専門家に相談、依頼されることをお勧めします。すわほうじん 第154号 (第三種郵便物認可) 令和4年11月1日発行参考資料: 法務省 「所有者不明土地の解消に向けた民事基本法制の見直し」関東信越税理士会諏訪支部税理士 菅原 明日加相続登記の義務化でどうなる? お客さんとのお話の中で、不動産の相続をしたけれど、何年も登記をしていないという話を時折聞くことがあります。このような場合、どうしたらよいのか?と聞かれますが、なるべく早めに登記してくださいと答えています。 今までは、登記をしないで放っておいても、期限や罰則はありませんでした。しかし、その結果日本では所有者不明の土地が増えてしまいました。このような土地を減らすため、新しい制度が整備されています。このことについて、解説していきたいと思います。税理士会コーナー知って納得!教えて税理士さん!

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