すわほうじん150号
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5企業情報㈲喜多屋醸造店岡谷市天竜町2-3-3電話0266-22-3110FAX0266-22-3107が盛んで、私のていたらくを見かねた岡谷の他社の先輩らの指導を受け出来上がった味■がやっと上位入賞を果たす事が出来ました。でも当初は仕込んだこだわりの味■も出品が終わると一般の味■に混ぜて販売していました。  しかし屋号にもある「喜多屋」にちなんで、せっかくの良い味■をたくさんの方々にも喜んでもらえないかと考えた末、こだわりの味■を米こうじが雪のように味■の表面に見えるので「雪娘」と名付け他の味■とは混ぜないで単独で売ってみました。広 ものづくり企業の最大課題ではありますが、安定した品質、商品作りは大変ではなかったですか。佐 国産など厳選材料と手間を考えるとまず値段が問題となりました。当時スーパーには大手の味■が100円代で特売されており、その何倍もの値段の商品が売れるか不安もありました。ところが予想に反して想像以上に売れたのです。消費者は価格だけじゃなく、良い品を求めていると改めて気付かされました。  雪娘の白は大豆を脱皮し煮なおす事で端麗で上品やさしい風味に、赤は大豆を蒸す事で旨味を濃縮した香り高い味わいに仕上げました。目標とする味■の個性をより鮮明にするための製造工程、熟成過程の拘りをさらに深める努力の継続で今に至っています。  納豆味■は納豆の持つ無塩でも流通出来る抗菌力を利用して美味しく減塩できる味■を目指して開発しました。御法度だからこそ成功すれば他社は真似できない味■「納豆味■」に挑戦することとしました。国のものづくり助成金を得て糀造りとは別棟での製造で製品化にこぎつける事が出来ました。消費者ニーズである減塩化、免疫力アップ、さらに身体に有効な納豆酵素を含んだ、今の時代に合った新しい味■です。広 最近、マスメディアにも度々登場している「食育」についても教えて下さい。佐 食育は食べ物を大切にする心、食の重要性やバランス良く食べる知識、安全性や品質、本物を選択できる能力、地域の産物、その旬などの理解が必要です。娘二人が、地元の有機栽培農家と協力して子供を交えた市民参加型の土づくりから始める作物本来のパワーを生かした生命力に満ちた美味しい味■作り活動をしています。これにより少しづつでも文化を歴史的な考察からお聞きすると、変化したものが多様性をもって新たに誕生する。それが残るか、消えるかは、先ずその本質を求めているかどうかで決まってくると改めて感じました。コロナ菌も様々に変化してきていますが、その本質が解明されていない分いつ収束するか分からず不安です。しかし、味■業界でご法度と言われた納豆菌ですら、健康をもたらすものに変わってきたのですから、菌は違えど感染防止だけに傾注するのでなく、何が本質なのか考えなければとか感じました。弊社も作り出すものは違いますが同規模会社ですので小さな老舗醸造店だからこそ出来ることに大変共鳴しました。恐縮ではありますが帰りに弊社社員分の雪娘味■を買って佐々木社長様とお別れしてまいりました。すわほうじん 第150号 (第三種郵便物認可) 令和3年11月1日発行理解が深まればと願っています。広 最近はコンビニ食やインスタントそして冷食など、子供たちは確かに日頃から調味された美味しいものに食べ慣れていますよね。しかし素材本来の味を知らず、結果旨いまずいの基準がなく大人までも味覚的弊害が出てきています。佐 有機農家の作物の安定消費促進や、同業の仲間と一緒になって地域の学校などでの味■仕込み体験を通じ、食育への意識理解がより広がればと思います。広 私も経験していますが、有機栽培というのは本当に大変です。その年の気候不安定要因の上、雑草や病害虫の力に屈してしまうことも度々ありました。佐 確かに、完全無農薬というのは、農業にとって生産量は落ちるし、品質も安定しない、販売用としては価格的にもかなりリスクがあります。しかしながら、大地からパワーをもらい、共存しながら子供たちに1年の活動を通じ、本来の生命力を感じてもらいたい。おいしいものをおいしいと笑顔で食べる、それはやがて想いとなって残り、つながり、自分の基準が生まれるはずです。  当たり前においしいのでなく、本当においしいと思う心を養うために必要かと思います。広 最後に佐々木社長の個人的な趣味などお聞かせ下さい。佐 小さいころはまずプラスチックモデル作りから嵌まりました。そして真空管アンプ造りをはじめ機械を修理することが好きです。工場の機械設備や家電などは趣味と実益を兼ね修理しています。工場のボイラーも昔のまま使用しています。私が生まれる前からの煙突も残っています。ボイラーは燃料こそ石炭から重油に代わりましたがそれでも稼働を始めるのに2時間もかかる年代物です。でも喜多屋の味■造りはウェットでクリーンな蒸気を出す、このボイラーなくしてできない大切なものです。是非ご覧になって下さい。広 ほかにもたくさんお聞きしたいのですが、ボイラーも見学させていただきたいのでここまでとさせていただきます。長時間にわたり、本当にありがとうございました。聞き手 広報委員長 北原洋一現役のボイラー

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