すわほうじん150号
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31.財政健全化に向けて 感染症拡大が収束段階になった際には、税制だけではなく大胆な規制緩和を行うなど、スピード感をもって日本経済の本格的な回復に向けた施策を講じる必要がある。また、財政健全化は国家的課題であり、コロナ収束後には本格的な歳出・歳入の一体的改革に入れるよう準備を進めることが重要である。2.社会保障制度に対する基本的考え方 適正な「負担」を確保するとともに、「給付」を「重点化・効率化」によって可能な限り抑制しないかぎり、持続可能な社会保障制度の構築と財政健全化は達成できない。また、社会保障は「自助」「公助」「共助」が基本であり、これを踏まえ公平性を確保したうえでその役割と範囲を改めて見直す必要がある。3.行政改革の徹底 地方を含めた政府・議会は「まず隗より始めよ」の精神に基づき自ら身を削り、直ちに明確な期限と数値目標を定めて改革を断行する。4.マイナンバー制度 マイナンバー制度は、すでに運用を開始しているが、マイナンバーカードの普及率が低いなど、国民や事業者が正しく制度を理解しているとは言い難い。政府は制度の意義等の周知に努め、その定着に向け本腰を入れて取り組んでいく必要がある。1.新型コロナウイルスへの対応 中小企業は我が国企業の大半を占め、地域経済の活性化と雇用の確保などに大きく貢献している。いわば経済社会の土台ともいえる存在であり、これが立ち行かなくなれば、経済全体にとっても取り返しのつかない事態に陥る。政府と自治体は複雑で多岐にわたるコロナ対策の周知・広報を徹底するとともに、申請手続きの簡便化やスピーディーな給付を行い、中小企業が存続を図れるよう全力で取り組む必要がある。2.中小企業の活性化に資する税制措置 中小企業は地域経済の担い手であるだけではなく、我が国経済の礎である。近年はコロナ禍だけでなく、自然災害による被害も多発するなど中小企業を取り巻く環境は一段と厳しさを増している。そうした中でその存在感を示すことができるような税制の確立が求められる。すわほうじん 第150号 (第三種郵便物認可) 令和3年11月1日発行 (1)中小法人に適用される法人税の軽減税率の特例15%の本則化、適用所得金額の引上げ。 (2)「中小企業投資促進税制」「少額減価償却資産の取得価額の損金算入の特例措置」の拡充、本則化。  (1)事業用資産を一般資産と切り離した本格的な事業承継税制の創設 (2)相続税、贈与税の納税猶予制度の充実、特例承継計画の提出期限の延長等 (3)取引相場のない株式の評価の見直し (1)システム改修や従業員教育など、事務負担が増大する中小企業に対して特段の配慮をすること。 (2)令和5年10月からの「適格請求書等保存方式」導入に向け、本年10月より「適格請求書発行事業者」の登録申請がはじまる。新型コロナは小規模事業者等の事業継続に大きな困難をもたらしており、さらなる事務負担を求めれば休廃業を加速することになりかねない。現行の「区分記載請求書等保存方式」を当面維持するなど、弾力的な対応を求める。 等 今般のコロナ禍は国と地方の役割分担の曖昧さや行政組織間の意思疎通不足、病院間の特性に応じた役割分担がなされていなかったことが浮き彫りとなった。これを機に、緊急時の医療体制を整備する必要があるが、そのためには国と地方、さらに自治体間の情報共有が不可欠であり、改めて広域行政の必要性を強調しておきたい。また、地方自身がそれぞれの特色や強みをいかした活性化戦略を構築し、地域の民間の知恵と工夫により、新たな地場技術やビジネス手法を開発していくことが不可欠である。その際に最も重要なのは、地方が自立・自助の精神を理念とし、自らの責任で必要な安定財源の確保や行政改革を企画・立案し実行していくことである。3.事業承継税制の拡充 我が国企業の大半を占める中小企業は、地域経済の活性化や雇用の確保などに大きく貢献している。中小企業が相続税の負担等によって事業が承継できなくなれば、経済社会の根幹が揺らぐことになる。平成30年度の税制改正では比較的大きな見直しが行われたが、さらなる抜本的な対応が必要である。4.消費税への対応 消費税は社会保障の安定財源確保と財政健全化に欠かせないが、税務執行コストおよび税収確保などの観点から問題が多い。このため、かねてから税率10%程度までは単一税率が望ましく、低所得者対策は「簡素な給付措置」の見直しで対応するのが適当であることを指摘してきた。国民や事業者への影響、低所得者対策の効果等を検証し、問題があれば同制度の是非を含めて見直しが必要である。Ⅰ.税・財政改革のあり方Ⅱ 経済活性化と中小企業対策令和4年度税制改正に関する提言(概要)Ⅲ 地方のあり方

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