すわほうじん149号
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〈菓子歳時記〉その14左利きの気持ち法人会会員「岡谷 精良軒」 原 昭徳 先日、お菓子のしおりに使う予定の英文を確認してもらいたく、地元の国際交流センターに行ってきた。そこには常勤の米国人の方がいらして、英語に関する質問に気軽に答えてくださる。要件を説明すると、僕の持参した短文も、ペンを片手にチェックしてくれた。そのときサラサラと書き出した手は、左手。自分も左利きなのでなんとなくシンパシーを感じたのだった。そのことを告げると、全世界的に見て、大体10%が左利きではと教えてくれた。各国生活様式でばらつきはあるが、日本も含めその位のようだ。 仕事上最近は、製造に関連する多くの工程が機械によるのだけれど、手づくりももちろんある。例えば、さくら餅の皮にあんを付けるときやつるの子餅を玉子型に成形するときなど。これらは、向かい合ってもとなりに並んでも、利き手がちがうと非常に伝えるのが難しい。製品を、手の中で回転させる方向が逆になったり、仕上がったものを置く手も反対になったり。見て同じように、といえないところがつらい。なので手の動きだけは、右利きと同じにできるようになりました。僕の場合はペン最近は、諏訪地方でも見かける機会の多くなった、麩まんじゅう。弊店は柚子風味スィーツオアシスにようこそや箸は右なので、ほんの多少のやりやすさはあったのだが。 こういったことは、日々の生活やビジネスシーンでもある。自分に限らず、左利きの人あるあるだと思うが、名刺交換のとき、名刺を差し出す手は右手と再確認したり(今は克服)、駅の自動改札もセンサー部分が右サイドにあるので、タッチしにくいとか。あと細かいことかもしれないが、喫茶店でのコーヒーカップもそうだ。持ち手を右側に出してくださるので、いつもそれを左側に回す作業が必要になる。利き手をうらやましがられたり、スポーツなどでは有利になることもあるけれど、日々の小さなストレスが左利きには多いのだ。 前にメガネ専用(蔵人全員が眼鏡使用者)の日本酒を製造しているという記事を新聞で見たことがある。逆手にとって、左利き作りの和菓子をアピールしてみようかな。

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