すわほうじん149号
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消費税の納税義務者について税理士会コーナー知って納得!教えて税理士さん! 令和5年10月1日から、消費税の仕入税額控除の方式としてインボイス制度が導入されることとなっています。適格請求書(インボイス)を発行できるのは、「適格請求書発行事業者」に限られ、この「適格請求書発行事業者」になるためには、登録申請書を提出し、登録を受ける必要があります。登録申請書の提出が可能となるのは、令和3年10月1日(金)以降です。国税庁が「インボイス制度特設サイト」を開設しています。 インボイス制度の対象は消費税の課税事業者です。今回は消費税の納税義務について簡単に解説します。関東信越税理士会諏訪支部税理士 村上 岳志1.納税義務の判定 基準期間とは、法人についてはその事業年度の前々事業年度、個人事業者についてはその年の前々年をいいます。 その課税期間の課税売上高が1千万円以下であっても、基準期間における課税売上高が1千万円を超えている場合には、免税事業者には該当せず、納税義務が生じます。2.基準期間における課税売上高が1千万円超 基準期間における課税売上高が1千万円以下の事業者であっても、免税事業者制度の適用を受けずに課税事業者となることを選択する制度が設けられています。 課税事業者選択届出書を所轄税務署長に提出した場合は、提出した日の属する課税期間の翌課税期間から課税事業者となります。つまり、原則として課税事業者になりたい課税期間開始の日の前日までに届出書を提出する必要があります(法人の設立など新たに事業を開始した場合は、提出した日の属する課税期間とすることも可能です)。 選択届出書により課税事業者となった後に基準期間における課税売上高が1千万円を超えた場合でも、「課税事業者選択不適用届出書」を提出しない限り、その届出書の効力自体は存続します。「課税事業者選択届出書」を提出している事業者においては、基準期間における課税売上高が一旦1千万円を超えた後再び1千万円以下となった場合でも、「課税事業者選択届出書」の効力により課税事業者となります。 「課税事業者選択不適用届出書」には提出制限があります。課税事業者を選択した場合、通常2年間は課税事業者の選択を取りやめることが出来ません。3.課税事業者選択届出書を提出 その事業年度の基準期間がない法人のうち、その事業年度開始の日における資本金の額又は出資金の額が1,000万円以上である法人については、その新設法人の基準期間がない事業年度の納税義務が免除されません。 設立3期目以降は基準期間における課税売上高その他の判定基準により、課税事業者となるか否かの判定を行います。参考文献:金井恵美子著 消費税中小企業者の特例パーフェクトガイド ぎょうせい4.新設法人に該当 平成元年の消費税導入時、消費税の円滑な実施を図るために、小規模事業者に対する納税事務負担に配慮し、基準期間における課税売上高が3千万円以下の事業者については納税義務を免除する特例が設けられた。 その後、消費税法の改正によって、現在の納税義務判定は次の①から⑦のいずれにも該当しない事業者を免税事業者としている。 ① 基準期間における課税売上高が1千万円超   (平成16年4月に3千万円から1千万円に引き下げられました) ② 消費税課税事業者選択届出書を提出 ③ 特定期間における課税売上高が1千万円超 ④ 相続・合併・分割等があった場合の特例に該当 ⑤ 新設法人(基準期間がなく期首の資本金1千万円以上)に該当 ⑥ 特定新規設立法人(基準期間がなく支配する者の課税売上高が5億円超)に該当 ⑦ 高額特定資産を取得し一般課税で申告した このうち①・②・⑤について簡単に解説をします。10すわほうじん 第149号 (第三種郵便物認可) 令和3年8月1日発行

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