すわほうじん148号
8/16

税 務 調 査税理士会コーナー知って納得!教えて税理士さん! コロナ禍において税務調査は納税者の理解の下で進められている。税務調査は、概ね3~5年又は5~10年の間に一度や二度受けるのが一般的で、このような調査を受けるような法人(会社)であって欲しいものです。関東信越税理士会諏訪支部税理士 向山 宏 税務調査は各種資料を参考に特別国税調査官や統括官等が税務署長の決裁を仰ぎ選定される。過去の調査事績も大きな選定材料になる。例えば、過去に隠ぺい・仮装を指摘され重加算税が課されていれば、その時点から3~5年で再調査を受ける割合が高くなる。 その他調査選定で重要な役割を果たしているのが取引先との決済状況だ。取引名義は法人名や屋号が主体だが、それ以外の取引名義であった場合は速やかに本来の名義に正すべきだ。また、法人内でのゴタゴタも要注意だ。例えば、社長派、専務派等に分かれ対立している場合は早期に改善すべき事項となる。1.税務署における調査の選定 税務署には裁判官の許可状がなくても捜索・差押を行うことの出来る職員がいる。徴収職員だ。徴収職員は当然ながら滞納処分において強制力を持って職務を追行する権限がある。納税者宅を訪れ必要に応じ家宅捜索を行い国税債権の確保に務めることが職務だ。この権限の強さには驚かされる。検察官(検事)も驚いている。検事はある法人等の帳簿書類を見たいときは裁判官の許可状を取り捜査する。しかし、税務官署の職員は電話一本でこれらの書類を見ることが出来るため、「我々とは大きな違いだ」と言っているようだ。ましてや徴収職員の権限はずば抜けていると。3.調査権限 調査選定のところでも説明したが、どの法人を調査するかは署においてこれまでに積み重ねてきた資料等を分析検討して調査すべき法人を選定するが、最近特に注意を要するのが各法人の「業種目」だ。税務の職場はほとんどが機械化されている。大法人(資本金1億円超)の申告はe-Tax等電子申告でなければ受け付けてくれない。すなわち、紙での申告では無申告になってしまう。 このように機械化が進んでいるため兼業のある法人は「事業概況書」等で細かく説明しておかなければ、他の同業類似法人と機械上で比較され「利益率や所得率が悪い」と判断され、調査すべき法人の俎上に上がってしまう。注意したいところだ。また、調査を受ける場においては、①聞かれたことだけを簡潔に説明する ②あやふやなことについては即答せず、「後ほど調べてから回答する」とすべきだ。4.調査時の注意点 「税務調査は出来る限り受けたくない」と言うのが本音かもしれないが、気楽に考えるのも良いのでは?と思う。中小の法人、特に小規模法人においては、社長が父親、専務がせがれ、監査役が母親等と言った親族だけで固めているのが現状。実際には監査など行われていないのではないかと推測する。 そこで、税務署の調査は「国家が官費で監査に来てくれている」と解すれば何のしんどさも無くなるのでは?また、それ程厄介ものでも無くなると思うのだが如何だろう。気楽に「調査」いや「監査」を受けてみては如何か?5.終わりに 税務調査でよく言われるのが「マルサ」のような強制調査と一般的な任意調査に二分される点だが、マルサであっても本来的には任意調査で実施されるのが主流である。しかし、任意調査では必要とする証拠収集が出来ないと判断された場合は、裁判官が発行する許可状で強制調査を行うと言うのが本来の姿だ。国税犯則取締法に基づく調査だからと言って全てが強制調査になるわけではない。取り調べは任意に行い、供述も任意に得ている。 ところで、国税局課税部の資料調査課が行う調査があるが、これも任意調査だ。俗に言う「リョウチョウ」の調査だ。この調査は国税局の職員が数名から数十名で来て主要な取引先も一斉に調査に入るようだ。受けたことがある法人間では「ミニマルサ」等と言っているとのこと。 任意調査の場合の臨場の上での調査日数は、対象法人の協力具合にもよるが一般調査では1~2日、多い場合でも3日程度。特別調査又は特別国税調査官の調査の場合の臨場調査は、少なくとも3日位を覚悟した方が良いだろう。「リョウチョウ」の調査は国税局から出張で来てホテル住まいをしながらの調査のため一週間は覚悟が必要だ。2.調査の形態等8すわほうじん 第148号 (第三種郵便物認可) 令和3年5月1日発行

元のページ  ../index.html#8

このブックを見る