すわほうじん147号
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関東信越税理士会諏訪支部税理士 中村 慎治令和3年度税制改正大綱の概要税理士会コーナー知って納得!教えて税理士さん! 令和2年12月21日に「令和3年度税制改正大綱」が閣議決定されました。 ポストコロナに向けた経済構造の転換・好循環の実現を図るため、企業のデジタルトランスフォーメーション(ITの浸透による変化、改革)及びカーボンニュートラル(炭素排出をゼロにする)に向けた投資を促進する措置を創設するとともに、こうした投資等を行う企業に対する繰越欠損金の控除上限の特例が設けられました。また、中小企業の経営資源の集約化による事業再生計画等を促す措置の創設や、家計の暮らしと民需を下支えするため、固定資産税の評価替えへの対応、住宅ローン控除の特例の延長等が行われました。今回は主な項目について概要を紹介します。 個人所得課税住宅ローン控除の特例の延長等 ・控除期間13年の特例の適用期限を延長し、令和4年末までの入居者を対象とするとともに、この延長した部分に限り、合計所得金額1,000万円以下の者について面積要件を緩和する(50㎡以上→40㎡以上)セルフメディケーション税制の見直し・対象をより効率的なものに重点化し、手続きを簡素化した上で5年間延長する。国や地方自治体の実施する子育てに係る助成等の非課税措置・国や自治体からの子育てに係る助成について子育ての 支援の観点から、非課税とする措置を講ずる。退職所得課税の適正化・勤続年数5年以下の法人役員等以外の退職金についても、雇用の流動化等に配慮し、退職所得控除額を控除した残額のうち300万円を超える部分について2分の1課税を適用しない。 資産課税国際金融都市に向けた税制上の措置・就労等のために日本に居住する外国人が死亡した際その居住期間にかかわらず、外国に居住する家族等が相続により取得する国外財産を相続税の課税対象としない。住宅取得資金に係る贈与税の非課税措置の拡充・非課税枠(1500万/令和3年4月以降縮小)を令和3年末まで据え置く(面積要件について、住宅ローン控除と同様の措置を講ずる) 教育資金、結婚・子育て資金の一括贈与に係る贈与税の非課税措置の見直し ・節税的な利用を防止する観点から、受贈者が贈与者の孫等である場合の贈与者死亡時の残高に係る相続税額への2割加算の適用等、所要の見直しを行った上、適用期限を2年間延長する。 土地に係る固定資産税等の負担調整措置等・宅地等及び農地の負担調整措置について、令和3年度から令和5年度までの間、現行の負担整整措置の仕組みを継続する。・その上で、令和3年度に限り、負担調整措置等により税額が増加する土地については、前年度の税額に据え置く特別な措置を講ずる。法人課税産業競争力強化に係る措置・デジタルトランスフォーメーション(DX)投資促進税制の創設・カーボンニュートラルに向けた投資促進税制の創設・活発な研究開発を維持するための研究開発税制の見直し・コロナ禍を踏まえた賃上げ及び投資促進に係る税制の見直し・繰延欠損金の控除上限の特例株式対価M&Aを促進する為の措置の創設・自社株を対価として、対象会社株主から対象会社株式を取得するM&Aについて、対象会社株主の譲渡損益に対する課税を繰り延べる措置を講ずる。国際金融都市に向けた税制上の措置中小企業の支援・中小企業向け投資促進税制等の延長・所得拡大促進税制の見直し・中小企業の経営資源の集約化に資する税制の創設・中小企業等に対する軽減税率の延長8すわほうじん 第147号 (第三種郵便物認可) 令和3年2月1日発行

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