すわほうじん143号
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関東信越税理士会諏訪支部税理士 永由 恒司令和2年度税制改正大綱の概要税理士会コーナー知って納得!教えて税理士さん! 令和元年12月20日において「令和2年度税制改正大綱」が閣議決定されました。 持続的な経済成長の実現に向け、オープンイノベーションの促進や投資や賃上げを促すための税制上の措置を講ずるとともに、連結納税制度の抜本的な見直しが行われました。また、経済社会の構造変化を踏まえ、すべてのひとり親家庭の子供に対する公平な税制を実現するための寡婦(夫)控除の見直しも盛り込まれました。今回は主な項目について概要を紹介します。 個人所得課税NISA制度の見直し・延長・つみたてNISAを令和24年12月31日まで5年延長する。・一般NISAについては積立投資を行っている場合には別枠の非課税投資を可能とする二階建ての制度に見直した上で、5年延長する。・ジュニアNISAについては令和5年末で終了する。低未利用地の活用促進・保有期間5年超の長期譲渡所得について、上物を含めて譲渡価格500万円以下等の要件を満たす低未利用地の譲渡所得に100万円の特別控除を創設する。未婚のひとり親に対する税制上の措置及び寡婦(夫)控除の見直し・生計を一にする子を有する未婚のひとり親で、合計所得金額が500万円以下である場合には寡婦(夫)控除を適用する。・寡婦についても寡夫と同様に所得制限(合計所得金額500万円以下)を設ける。・生計を一にする子を有する寡夫の控除額を寡婦と同額とする。国外居住親族に係る扶養控除等の見直し・所得要件が国内源泉所得のみで判定されるため国外で所得を稼得している国外居住親族でも扶養控除の対象となってしまう問題を踏まえ、留学生や障害者、38万円以上の送金等が確認できる者を除く30歳以上70歳未満の成人について、令和5年分以後の所得税につき、扶養控除の対象から除外する。私的年金等に関する公平な税制への措置・確定拠出年金等について、①DC等の加入可能要件の見直しと受給開始時期等の選択肢の拡大、②中小企業向け制度の対象範囲の拡大、③企業型DC加入者のiDeCo加入要件の緩和等の見直しが行われた後も現行の税制上の措置を適用する。 資産課税所有者不明土地等に係る固定資産税の課税への対応・現に所有している者(相続人等)に対し、市町村の条例で定めるところにより、現所有者の氏名、住所等固定資 産税の賦課徴収に必要な事項を申告させることができる。・市町村は、一定の調査を尽くしてもなお固定資産の所有者が一人も明らかとならない場合、その使用者を所有者とみなして固定資産税を課することができることとする。 法人課税中小企業向けオープンイノベーション促進税制の創設・中小企業者で対象法人に該当するものが、令和2年4月1日から令和4年3月31日までの間に、創業10年未満・未上場のベンチャー企業に対し1,000万円以上の出資をした場合には、その出資額の25%の所得控除ができる制度を創設する。ただし、特定株式の取得から5年経過しているものを除き、取崩事由に該当した場合は一定額を益金算入する。5G導入促進税制・5G情報通信インフラの早期かつ集中的な整備を行うため、5G基地局の前倒し整備やローカル5Gの整備に係る一定の投資について、15%の税額控除又は30%の特別償却ができる制度を創設する。少額資産及び交際費課税の特例措置の延長・中小企業が取得する30万円未満の少額設備投資(年300万円を上限)の即時償却及び中小企業の交際費を年間800万円まで全額損金算入する特例措置をそれぞれ2年間延長する。連結納税制度の見直し・企業の事務負担軽減のため、グループ調整計算を維持しながら個別申告方式を導入する。企業版ふるさと納税の見直し・地方創生応援税制(企業版ふるさと納税)について、手続きの抜本的な簡素化・迅速化を図るほか、税額控除割合を現行の3割から6割に引き上げる。消費課税消費税の申告期限の延長・企業の事務負担軽減のため、法人税等と異なり申告期限の延長が認められていなかった消費税の申告期限を1カ月延長する特例を創設する。6すわほうじん 第143号 (第三種郵便物認可) 令和2年2月1日発行

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