すわほうじん142号
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全国の会員企業の総意として「令和2年度税制改正に関する提言」を宣言◆経済の再生と財政健全化を目指し、歳出・歳入の一体的改革を!◆適正な負担と給付の重点化・効率化で、持続可能な社会保障制度の確立を!◆中小企業は日本経済の礎。活力向上のための税制措置拡充を!◆中小企業にとって事業承継は重要な課題。本格的な事業承継税制の創設を!令和2年度税制改正スローガンⅠ.税・財政改革のあり方1.財政健全化に向けて⑴ 今般の消費税率10%への引き上げは、財政健全化と社会保障の安定財源確保のために不可欠だった。税率引き上げによる悪影響を緩和する等の環境整備は必要だが、本年度に引き続き、来年度当初予算においても臨時・特別の措置を講じることとしている。しかし、それがバラマキ政策となってはならない。⑵ 政府は、2016年度から18年度の3年間を集中改革期間と位置づけ、政策経費の増加額を1.6兆円(社会保障費1.5兆円、その他0.1兆円)程度に抑制する目安を達成した。2019年度から21年度の基盤強化期間についても、引き続き社会保障費の増加額を抑制する目安を示し、改革に取り組む必要がある。⑶ 財政健全化は国家的課題であり、歳出、歳入の一体的改革によって進めることが重要である。歳入では安易に税の自然増収を前提とすることなく、また歳出については聖域を設けずに分野別の具体的な削減の方策と工程表を明示し、着実に改革を実行するよう求める。⑷ 今般の消費税率引き上げに伴って本年10月より軽減税率制度が導入されるが、これによる減収分については安定的な恒久財源を確保するべきである。⑸ 国債の信認が揺らいだ場合、長期金利の急上昇など金融資本市場に多大な影響を与え、成長を阻害することが考えられる。政府・日銀には、市場の動向を踏まえた細心の政策運営を求めたい。2.社会保障制度に対する基本的考え方⑴ 年金については、「マクロ経済スライドの厳格対応」、「支給開始年齢の引き上げ」、「高所得高齢者の基礎年金国庫負担相当分の年金給付削減」等、抜本的な施策を実施する。⑵ 医療は産業政策的に成長分野と位置付け、大胆な規制改革を行う必要がある。給付の急増を抑制するために診療報酬(本体)体系を見直すとともに、政府目標であるジェネリックの普及率80%以上も早期に達成する。⑶ 介護保険については、制度の持続性を高めるために真に介護が必要な者とそうでない者とにメリハリをつけ、給付及び負担のあり方を見直す。⑷ 生活保護については、給付水準のあり方などを見直すとともに、不正受給の防止などさらなる厳格な運用が不可欠である。⑸ 少子化対策では、現金給付より保育所や学童保育等を整備するなどの現物給付に重点を置くべきである。その際、企業も積極的に子育て支援に関与できるよう、企業主導型保育事業のさらなる活用に向けて検討する。  また、子ども・子育て支援等の取り組みを着実に推進するためには安定財源を確保する必要がある。⑹ 企業への過度な保険料負担を抑え、経済成長を阻害しないような社会保障制度の確立が求められる。3.行政改革の徹底⑴ 国・地方における議員定数の大胆な削減と歳費の抑制。 ⑵ 厳しい財政状況を踏まえ、国・地方公務員の人員削減と、能力を重視した賃金体系による人件費の抑制。⑶ 特別会計と独立行政法人の無駄の削減。⑷ 積極的な民間活力導入を行い成長につなげる。4.消費税引き上げに伴う対応措置⑴ 現在施行されている「消費税転嫁対策特別措置法」の効果等を検証し、中小企業が適正に価格転嫁できるよう、さらに実効性の高い対策をとるべきである。⑵ 消費税の滞納防止は税率の引き上げに伴ってより重要な課題となる。消費税の制度、執行面においてさらなる対策を講じる必要がある。⑶ システム改修や従業員教育など、事務負担が増大する中小企業に対して特段の配慮が求められる。5.マイナンバー制度について 政府は、制度の意義等の周知に努め、その定着に向け本腰を入れて取り組む必要がある。Ⅱ.経済活性化と中小企業対策1.法人実効税率について 国際競争力強化などの観点から、今般の法人実効税率引下げ効果等を確認しつつ、更なる引下げも視野に入れる必要がある。2.中小企業の活性化に資する税制措置⑴ 中小法人に適用される軽減税率の特例15%を本則化すべきである。また、昭和56年以来、800万円以下に据え置かれている軽減税率の適用所得金額を、少なくとも1,600万円程度に引き上げる。⑵ 租税特別措置については、公平性・簡素化の観点から、政策目的を達したものや適用件数の少ないものは廃止を含めて整理合理化を行う必要はあるが、中小企業の技術革新など経済活性化に資する措置は、以下のとおり制度を拡充したうえで本則化すべきである。2すわほうじん 第142号 (第三種郵便物認可) 令和元年11月1日発行

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