すわほうじん 139号
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税理士会コーナー知って納得!教えて税理士さん!関東信越税理士会諏訪支部両角 美智代 「平成31年度税制改正大綱」が決定されました。 2019年10月に予定されている消費税増税に備えての住宅ローン減税を拡充したほか、自動車税の減税、個人版事業承継税制の創設、子や孫への教育資金贈与の特例の見直し、中小企業の法人税率の特例や設備投資減税の延長などが盛り込まれました。主な項目について概要を紹介します。 1.住宅ローン減税(個人所得) マイホームを購入した時に年末の借入残高(4,000万円が上限、長期優良住宅は5,000万円が上限)の1%に相当する額が10年間、所得税額などから控除される。 今回の見直しでは控除期間が13年間に延長される。延長される3年間部分は、①一定の建物価格の2%の金額を3等分した額と②借入残高の1%の金額を比較して少ない方が減額される。2.空き家の相続特例(個人所得) 祖父母や親から相続した空き家を売却した際に、最大3,000万円を譲渡所得から差し引き税負担を軽減できる特例措置を2020年以降も継続する。 相続直前に被相続人が住んでいることが条件であったが、今回の見直しで、相続直前で自宅に住まず老人ホームに入居しているケースでも、被相続人がある程度使用していれば優遇措置が受けられるようになる。3.ふるさと納税(個人所得) 高額な返礼品が問題とり見直しされることとなった。 寄付に対する返礼品は、寄付金の3割以下となる地場産品に限定される。この基準を満たしている地方自治体に総務省がお墨付きを与える「認定制」となり、告示される。よって、この基準を満たさない自治体に寄付をしても特例控除は受けられなくなる。4.個人版事業承継税制(相続・贈与) 個人商店や小規模事業者などの廃業を防ぐため創設される。10年間の時限措置で、法人でない個人事業主が事業用の土地建物や設備などを引継ぐ際の相続税や贈与税の支払いを猶予される。 土地は400㎡、建物は800㎡までが対象となる。承継後も事業を継続することが条件で、承継計画を都道府県に届け出て認可を受ける必要がある。5.教育資金贈与の特例(贈与) 30歳未満の子や孫への資産の一括贈与について、教育資金であれば1,500万円まで贈与税を非課税とする「教育資金贈与の特例」が2021年3月末まで2年延長するとともに、受贈者の合計所得を1,000万円以下とする所得制限が導入される。贈与された資金の使い道も23歳以上では2019年7月以降は趣味の習い事には使えなくなる。また、相続前3年以内の贈与でも相続財産に持ち戻しされなかったが、受贈者が23歳以上で学校に在学せず教育訓練も受講していなければ持ち戻しの対象となるよう改められる。 上記のほか、教育資金贈与の特例と似た制度で、結婚・子育て資金贈与の特例についても同様の所得制限が付けられる。6.18歳成人年齢に伴う改正(贈与・相続) 相続時精算課税制度、直系尊属からの贈与に適用される贈与税の特別税率、事業承継税制などは、20歳以上から18歳以上へ拡大される。逆に、相続税の未成年者控除は20歳未満から18歳未満へ引き下げられる。7.研究開発税制の見直し(法人) 試験研究費の総額に係る税額控除制度について控除税率を見直したうえ、研究開発を行う一定のベンチャー企業の控除税額の上限を当期の法人税額の40%(現行25%)に引き上げる。 大企業が中小企業に研究を委託したり共同研究をすれば、その費用の20%を法人税額から控除できる仕組みは既に設けられているが、今回の改正では、相手が研究開発型の企業であれば5%上乗せされる。8.中堅・中小・小規模事業者の支援(法人)・中小企業者等の法人税の軽減税率の特例を2年延長(課税所得800万円以下について税率15%維持)・中小企業投資促進税制の適用期限を2年延長・中小企業経営強化税制について、特定経営力向上設備等の範囲の明確化及び適正化を行ったうえ、適用期限を2年延長 など9.自動車税の税率引下げ(消費) 2019年10月以後の新車登録を受けた自家用自動車から、自動車税の税率が引き下げられる。    税率区分  引下げ幅1,000cc以下 △4,500円1,000cc超 1,500cc以下 △4,000円1,500cc超 2,000cc以下 △3,500円2,000cc超 2,500cc以下 △1,500円2,500cc超 △1,000円8すわほうじん 第139号 (第三種郵便物認可) 平成31年2月1日発行

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