すわほうじん 138号
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世界中に名を響かせる、多能工のものづくり集団! 業務用衣料仕上げ汎用プレス製造の、世界トップメーカー 株式会社イツミ様にお邪魔しました。本日は二代目社長であった、現在会長の五味光亮様にお話をお伺いしました。(聞き手 広報委員 小川 武彦)会員見聞録五味光亮 会長企業訪問広報委員 本日はお忙しいところご対応いただきありがとうございます。まず、御社の歴史的な背景を教えていただきますか。五味会長 諏訪群原村にて昭和36年(1961年)7月、イツミ洗機を父親と創業しました。昭和38年に有限会社イツミに組織変更し五味式部之亮が社長、私が専務となりクリーニングプレス機、縫製プレス機の開発、設計、製造を行ってきました。昭和56年株式会社イツミに組織変更し私が二代目の社長となりました。広報委員 実際、どのようなモノを製造しているのですか。またものづくりへの拘りはどのようなものですか。五味会長 クリーニング店でワイシャツ1枚100円本日中に仕上げという表示、またホテルにてワイシャツ翌朝仕上げなどの表示を目にした事があるかと思います。これを実現させたのがイツミの大型洗浄・消毒・乾燥、さらにプレス機と言われています。広報委員 イツミ様のカタログを拝見すると、何百種類という製品(機械)が掲載されていますが、実際どのような用途なのですか。五味会長 従来アメリカ製のプレス機しかなく大型で高価なものでした。そこで開発したのが小型綿(ワイシャツ)プレス機です。業界に一代旋風をおこし、中小クリーニング業者に機械化の恩恵もたらす画期的なヒットとなりました。ニッチ産業に基幹的(核心的)な構造のもと、世界標準となるべく発明をしていくことの拘りがあります。広報委員 イツミの社名は、「知る人ぞ知る」ブランドであり、積み重ねた歴史は57年。業務用衣料仕上げ汎用プレス機では世界トップメーカーとお聞きしていますが。五味会長 メインの衣料プレス機は300種類以上の製品を手がけています。基本OEM生産ですのでユーザーの要望に、完全内製一貫生産で応えています。広報委員 とても興味深いですね。その点もう少し詳しく教えていただきますか。五味会長 完全内製一貫生産で、ユーザーの要望に対し開発工程として企画・設計・試作、量産工程として機械部品加工、板金・仮組・塗装・組立・検査・出荷を独自の技術力と合理的な工程管理により高品質、低コストの製品で多様なニーズに対応しています。広報委員 すごいですね。しかし納期まで時間がかかってしまいますよね。五味会長 逆です。一貫生産に必要なあらゆる設備を自社で備えており、一台からの注文も納品まで一ヶ月でやれる仕組みになっています。また特に自慢できるものがあります。社員の能力です。社員一人々が多能工(異なる作業を並行する能力)です。それもオンリーワンの技術をもつマルチエキスパートの集団だからこそ、コストを抑えつつ、完全社内一貫生産ができるのです。広報委員 今後のビジョンはどのような物ですか。五味会長 平成23年、社長を息子(五味淳氏)に譲り、「衣料仕上げ機械の製造で世界の発展に貢献する」という創業以来の経営理念を引継ぎ、新たな産業分野として介護、病院など福祉業務用洗浄・消毒・乾燥・各種機器など色々の分野へ挑戦しています。広報委員 大手メーカーで設計に携わっていたという現在の五味敦社長ですが、どこかの記事で拝見したのですが、「一貫生産の全行程にかかわれるものづくりの喜びを実感している」との言葉が頼もしくまた先代の社長からの意志をしっかり受け継いでいると感じました。ところで輸出が6~7割とお聞きしましたが。五味会長 輸出先は、昭和45年に中東、アフリカ向に大量注文がありました。以後アメリカ、東南アジア、欧州が主流ですが、14億の人口を有する中国、9千万人のベトナム、バングラディシュ、などが魅力です。特に平成16年に中国の無錫に現地法人を設立しましたが、日本での常識が中国では全く通用しなかったという苦い経験もあります。広報委員 最近、会長にお電話する機会があり「今ハルピンにいるから後程電話する」との返答で、法人会の事務局長が富士見にある「ハルピンラーメン店」と間違ったという話を聞き失笑してしまいました。最後に五味会長個人の趣味などお聞かせ下さい。五味会長 地域発展のため、地元高地で荒廃した農地を利用した産業、農業を研究する事です。 また今はあまり運転していませんが、若い頃からオフロード車が好きで何台か所有しています。最初に購入した米ウイリス社製のジープもまだあります。また荒廃地に繰り出し、この高地で何かできないか考えて行きたいと思っています。広報委員 本日はお忙しい中、ありがとうございました。                  前期まで長期に亘り法人会の副会長をお引き受けいただいた五味会長。今でも、旺盛な好奇心、実行力など進取の気概を感じます。社長も息子の五味淳氏に承継され、益々発展途上という「イツミ」様。工場の見学もお許しいただき、「これぞものづくりの現場」を実感しました。学生たちがたくさん訪れる工業メッセが間もなく開催されますが、先にイツミ様の工場を見たら、よりものづくりの世界が広がるのではないか思う次第です。諏訪群原村11865電話: 0266-79-2331株式会社 イツミ企業情報資本金2,800万円従業員52名6すわほうじん 第138号 (第三種郵便物認可) 平成30年11月1日発行

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