すわほうじん 138号
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全国の会員企業の総意として「31年度税制改正に関する提言」を発表!◆財政健全化は国家的課題。目標の早期達成に向けて全力を!◆少子高齢化の急速な進行は不可避。社会構造変化に対応した社会保障制度の確立を!◆中小企業向け税制措置を拡充し、真の経済再生を!◆中小企業は雇用の担い手。事業承継税制の改革は地方活性化のためにも重要!全国法人会総連合主催の「第35回法人会全国大会 ―鳥取大会―」が10月15日開催されました。以上要約より抜粋、詳細は「ほうじん」秋号へ掲載平成31年度税制改正スローガン5.マイナンバー制度について⑴ マイナンバー制度は運用が開始されたにもかかわらず、依然として国民や事業者が正しく制度を理解しているとは言い難い。政府は引き続き、制度の意義等の周知に努め、その定着に向けて取り組んでいく必要がある。6.今後の税制改革のあり方⑴ 今後の税制改革に当たっては、①経済の持続的成長と雇用の創出②少子高齢化や人口減少社会の急進展③グローバル競争とそれがもたらす所得格差など、経済社会の大きな構造変化④国際間の経済取引の増大や多様化、諸外国の租税政策等との国際的整合性―などにどう対応するかという視点等を踏まえ、税制全体を抜本的に見直していくことが重要な課題である。Ⅱ.経済活性化と中小企業対策1.法人実効税率について⑴ OECD加盟国の法人実効税率平均は25%、アジア10カ国の平均は22%となっており、依然として我が国の水準は高い。このため、国際競争力強化などの観点から、今般の法人実効税率引き下げの効果等を見極めつつ、さらなる引き下げも視野に入れる必要があろう。2.中小企業の活性化に資する税制措置⑴ 中小法人に適用される軽減税率の特例15%を時限措置(平成31年3月31日まで)ではなく、本則化する。なお、直ちに本則化することが困難な場合は、適用期限を延長する。また、昭和56年以来、800万円以下に据え置かれている軽減税率の適用所得金額を、少なくとも1,600万円程度に引き上げる。⑵ 租税特別措置については、公平性・簡素化の観点から、政策目的を達したものや適用件数の少ないものは廃止を含めて整理合理化を行う必要はあるが、中小企業の技術革新など経済活性化に資する措置は、以下のとおり制度を拡充し、本則化すべきである。なお、中小企業投資促進税制の適用期限が平成31年3月31日までとなっていることから、直ちに本則化することが困難な場合は、適用期限を延長する。① 中小企業投資促進税制については、対象設備を拡充したうえ、「中古設備」を含める。なお、中小企業投資促進税制の上乗せ措置として平成29年度に改組された中小企業経営強化税制について、事業年度末が迫った申請の認定に当たっては弾力的に対処すること、及び適用期限(平成31年3月31日まで)を延長すること。② 少額減価償却資産の取得価額の損金算入の特例については、損金算入額の上限(合計300万円)を撤廃する。3.事業承継税制の拡充⑴ 事業用資産を一般資産と切り離した本格的な事業承継税制の創設我が国の納税猶予制度は、欧州主要国と比較すると限定的な措置にとどまっており、欧州並みの本格的な事業承継税制が必要である。とくに、事業に資する相続については、事業従事を条件として他の一般財産と切り離し、非上場株式を含めて事業用資産への課税を軽減あるいは免除する制度の創設が求められる。⑵ 相続税、贈与税の納税猶予制度の充実  平成30年度税制改正では、中小企業の代替わりを促進するため、10年間の特例措置として同制度の拡充が行われたことは評価できるが、事業承継がより円滑に実施できるよう以下の措置を求める。① 猶予制度ではなく免除制度に改めるとともに、平成29年以前の制度適用者に対しても適用要件を緩和するなど配慮すべきである。②国は円滑な事業承継が図られるよう、経営者に向けた制度周知に努める必要がある。なお、特例制度を適用するためには、5年以内に「特例承継計画」を提出する必要があるが、この制度を踏まえてこれから事業承継の検討(後継者の選任等)を始める企業にとっては時間的な余裕がないこと等が懸念される。このため、計画書の提出期限について配慮すべきである。Ⅰ.税・財政改革のあり方1.財政健全化に向けて⑴ 2019年10月の消費税率10%への引き上げは、財政健全化と社会保障の安定財源確保のために不可欠である。税率引き上げによる悪影響を緩和する等の経済環境整備は必要であるが、それがバラマキ政策とならないよう十分配慮すべきである。⑵ 政府は、2016年度から18年度の3年間を集中改革期間と位置づけ、政策経費の増加額を1.6兆円(社会保障費1.5兆円、その他0.1兆円)程度に抑制する目安を示し、達成した。2019年度から21年度の基盤強化期間についても、社会保障費の増加額を抑制する目安を示し、改革に取り組む必要がある。⑶ 財政健全化は国家的課題であり、歳出、歳入の一体的改革によって進めることが重要である。歳入では安易に税の自然増収を前提とすることなく、また歳出については、聖域を設けずに分野別の具体的な削減の方策と工程表を明示し、着実に改革を実行するよう求める。⑷ 消費税についてはこれまで主張してきたとおり、税率10%程度までは単一税率が望ましいが、政府は税率10%引き上げ時に軽減税率制度を導入する予定としている。仮に軽減税率制度を導入するのであれば、これによる減収分について安定的な恒久財源を確保するべきである。⑸ 国債の信認が揺らいだ場合、長期金利の急上昇など金融資本市場に多大な影響を与え、成長を阻害することが考えられる。政府・日銀には、市場の動向を踏まえた細心の政策運営を求めたい。2.社会保障制度に対する基本的考え方⑴ 年金については、「マクロ経済スライドの厳格対応」「支給開始年齢の引き上げ」「高所得高齢者の基礎年金国庫負担相当分の年金給付削減」等、抜本的な施策を実施する。⑵ 医療については、成長分野と位置付け、大胆な規制改革を行う必要がある。給付の急増を抑制するために診療報酬(本体)体系を見直すとともに、政府目標であるジェネリックの普及率80%以上も早期に達成する。⑶ 介護保険については、制度の持続性を高めるために真に介護が必要な者とそうでない者とにメリハリをつけ、給付及び負担のあり方を見直す。⑷ 生活保護については、給付水準のあり方などを見直すとともに、不正受給の防止などさらなる厳格な運用が不可欠である。⑸ 少子化対策では、現金給付より保育所や学童保育等を整備するなどの現物給付に重点を置くべきである。その際、企業も積極的に子育て支援に関与できるよう、企業主導型保育事業のさらなる活用に向けて検討する。なお、子ども・子育て支援等の取り組みを着実に推進するためには安定財源を確保する必要がある。⑹ 企業への過度な保険料負担を抑え、経済成長を阻害しないような社会保障制度の確立が求められる。3.行政改革の徹底⑴ 国・地方における議員定数の大胆な削減、歳費の抑制。⑵ 厳しい財政状況を踏まえ、国・地方公務員の人員削減と、能力を重視した賃金体系による人件費の抑制。⑶ 特別会計と独立行政法人の無駄の削減。⑷ 積極的な民間活力導入を行い成長につなげる。4.消費税引き上げに伴う対応措置⑴ 現在施行されている「消費税転嫁対策特別措置法」の効果等を検証し、中小企業が適正に価格転嫁できるよう、さらに実効性の高い対策をとるべきである。⑵ 消費税の滞納防止は税率の引き上げに伴ってより重要な課題となる。消費税の制度、執行面においてさらなる対策を講じる必要がある。⑶ 軽減税率制度を導入するのであれば、国は国民や事業者に対して制度の周知を行い、混乱が生じないよう努める必要がある。また、システム改修や従業員教育など、事務負担が増大する中小企業に対して特段の配慮が求められる。2すわほうじん 第138号 (第三種郵便物認可) 平成30年11月1日発行

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