すわほうじん137号
7/12

7「事業承継税制の特例」の概要 その② 帝国データバンクによると、2018年長野県内社長の平均年齢は60.4歳と過去最高で、都道府県別では9番目の高さとなっています。新・事業承継税制は、自社株を承継する際に「実質的に贈与税と相続税が一切かからない」仕組みになりました。会社承継には是非この制度の活用を検討してみましょう。そこで、今回は、この特例の適用を受けるには具体的に何からはじめたら良いかのか、贈与を前提に適用要件を整理してみましたので、確認してみてください。次のようなケースは注意が必要です1.この特例の利用を検討すべき会社かどうか?・ 中小企業である(風俗営業、資産管理会社を除く)・ 現役の代表取締役で、自社株の承継がほとんど終わっていない・ 過去に代表取締役であったが、自社株の承継がほとんど終わっていない※自社株の承継がほとんど終わっていないケースでも、自社株の評価額が高額でなく、通常の暦年贈与等で承継できそうな場合は、本制度を無理に利用する必要はないと思われます。2.後継者又は後継者候補(複数人でも良い)は決まっていますか?  この特例を利用したい場合には、まず2018年4月1日から2023年3月31日までの間に「特例承継計画」を都道府県庁に提出し、認定を受ける必要があります。特例承継計画には、「会社名、先代経営者の氏名、後継者の氏名、事業内容、承継時までの経営の見通し、5年間に行う承継実施内容、認定支援機関等による所見など」を記載します。後継者又は後継者候補が決まっているのであれば、すぐに自社株を後継者に贈与する予定がなくても、まずは計画書を提出しておくと良いでしょう。  後継者又は後継者候補が決まっていない場合には「特例計画書」に後継者の氏名を記載できないため、計画書自体を提出することができません。将来会社を誰に託して行①先代経営者が亡くなっており、その妻である社長の母親が筆頭株主となっているケースは、この制度の適用を受けられません。また、納税猶予を受けるためだけに母親に代表権を持たせることは行き過ぎた行為となると考えられ、会社経営上も税務上も問題となることが少なくないでしょう。②贈与したい後継者が3人いる場合には、3人全員が特例経営承継受贈者の要件を満たす必要があります。3人に代表権を持たせることが会社経営上に問題が生じないのかを検討しておく必要があります。③先代経営者の兄弟姉妹に自社株が分散しており後継者へ自社株を集中させたい場合は、先代経営者からの全株一括贈与を条件に他の株主からの贈与株式についても納税猶予の適用が受けられます。しかし、本当に全株を譲って良いのか、自社株を後継者一人に集中させることのリスクもあると考えます。④10年の時限措置であること、また、次の世代に承継負担が先送りされないか、などについても考えておく必要があります。すわほうじん 第137号 (第三種郵便物認可) 平成30年8月1日発行くのかを真剣に考える必要があります。そして、後継者候補が見つかれば、事業を引継ぐ意思を確認したうえで、共に事業承継計画を策定していくこととなるでしょう。3.特例事業承継税制の適用を受けられる「経営者(先代経営者)」の要件 次の要件を満たす必要があります。・ 会社の代表者であったこと(贈与までに代表権を返上する必要がある)・ 経営者と同族関係者で議決権数の50%超の株式を保有し、かつその同族関係者(後継者を除く)の中で筆頭株主であったこと(代表者であった当時のいずれかの時点及び贈与直前に要件を満たす必要がある。代表権返上直後に贈与した場合は贈与直前のみでよい)4.特例事業承継税制の適用を受けられる「後継者(特例経営承継受贈者)」の要件 贈与時点で次の要件を満たす必要があります。・ 会社の代表者であること・ 20歳以上であり、かつ、役員就任後3年を経過していること・ 同族関係者と合わせて議決権数の50%超を保有し、かつ、その同族関係者の中に後継者以外に保有株式数の上位者がいないこと(後継者が1人の場合)・ 贈与のときから認定申請日まで、引き続き贈与により取得した認定承継会社の株式等をすべて保有していること関東信越税理士会諏訪支部両角 美智代税理士会コーナー知って納得!教えて税理士さん!

元のページ  ../index.html#7

このブックを見る