すわほうじん137号
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スィーツオアシスにようこそ〈菓子歳時記〉その2ところてんに? 法人会会員「岡谷精良軒」 原昭徳 夏の季語でもあるところてん。暑ーい夏、食欲の落ちる時期でもするすると食べられるのは、きっと僕だけではないはず。見た目も涼やかで、酢じょうゆに和がらし、白ごまに青のりときたら、いくらでも食べられる気がする。それでいてほとんどが水分だから低カロリーで、食物繊維も豊富、身体を引き締めたい方にもおすすめの伝統食といえる。奈良時代に日本につたわり、江戸時代には庶民も口にしていたそうだ。 弊店ではあつかいがないのだが、ある日取引先の寒天業者さんから、ところてんをいただいた(ちなみに、寒天の元がところてん)。夕食前、ちょっとお腹がすいたので、さっそくあれをと思ってとりだしたが、タレがない。きっとついていたはずだが、なぜかない。ならばと、食卓定位置にあるはずのポン酢しょうゆをさがすも、見当たらない。しかたなく冷蔵庫を物色していると、んっとひらめいた。これはどうだろう、ウスターソース。 関西では、黒みつをかけることは知っていた。おそらく■きりそうめん風だ。ウスターは想像がつかない。これはやるしかないでしょ。とんちんかんな大失敗を頭に、おそるおそる口にはこぶ。おや。なになに。ツルツル……もしや。 美味しかったんですよ。よく考えるとウスターソースには、ほどよい酸味がある。ほのかな甘みも。いろいろな野菜果物、香辛料が入っているから味も多層的。いやあ先入観いけませんね。今年の夏はところてんにウスターソース、おためしの価値ありです。弊店で使っている県内産糸寒天とところてん突き

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