すわほうじん135号
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税理士会コーナー知って納得!教えて税理士さん!関東信越税理士会諏訪支部両角 美智代 2018年度税制改正大綱が2017年12月22日に閣議決定されました。今年度の税制改正の基本的な考え方は「生産性革命」と「人づくり革命」です。個人所得課税の見直し、賃上げ、設備投資促進のための税制措置が目玉です。また、大綱の基本的考え方の中では「消費税率10%への引上げを2019年10月1日に確実に実施する」と記載されております。毎年様々な税制改正がありますが、上手に使って今後の経営や事業承継に役立てていただきたいと思います。主な改正案について概要を紹介させていただきます。 ― 2017年度改正で2018年分以後の所得税から適用されるもの ― 配偶者控除の縮減・配偶者特別控除の拡大と本人所得の調整が設けられました(図表参照)。所得税で配偶者特別控除の適用範囲は拡大されましたが、社会保険の被扶養者となるためには給与収入130万円以下である必要があります。所得税と社会保険では給与収入の金額基準に違いがありますので十分注意してください。お得な税情報【個人所得課税】①給与所得控除の引下げ 年収850万円超の会社員や公務員が増税される。給与所得控除上限が220万円から195万円へ引下げ。②基礎控除を38万円から48万円に引上げ ただし、合計所得2,400万円を超える人は3段階で減額。③公的年金等控除額を一律10万円引下げ さらに年金収入が年1,000万円超の人の上限設定。年金以外の所得が1,000万円超の人は控除額を減額。④青色申告特別控除65万円から55万円に引下げ 電子で申告するか帳簿書類を電磁的記録により保存している場合には現行通り65万円控除維持。⑤上記は2020年分以降の所得税について適用【資産課税】①事業承継税制 10年間の特例として、納税猶予対象の株式の制限(総株式数2/3)の撤廃、納税猶予割合の引上げ(80%から100%)、雇用確保要件の弾力化を行うとともに、複数(最大3名)の後継者に対する贈与・相続に対象を拡大し、経営環境の変化に対応した減免制度を創設する等の措置を講ずる。(2018年1月1日から2027年12月31日までの贈与等)②小規模宅地等の課税の特例 3親等内の親族が所有する家に住んでいたりすれば、優遇の対象外になる。(2018年4月1日以後の贈与又は遺贈)③一般社団法人を利用した相続税・贈与税 理事を親族が継ぐなどしているケースのうち、課税逃れと判断される場合は非課税対象から外す。(2018年4月1日以後の贈与又は遺贈)【法人税課税】①所得拡大促進税制の改組 大企業は3%以上の賃上げと国内設備投資の拡大で15%税額控除。さらに一定の人材投資要件等を満たせば5%上乗せされた20%税額控除。 中小企業は1.5%以上の賃上げで15%税額控除。さらに一定の人材投資要件等を満たせば10%上乗せされた25%税額控除。(2018年4月1日から2021年3月31日までに間に開始する各事業年度)②情報連携投資等(IoT)の促進に係る税制の創設 (コネクテッド・インダストリーズ税制) 革新的事業活動による生産性の向上の実現のための臨時措置法(仮称)に基づく設備投資に対して特別償却又は税額控除を可能とする。(施行日から2021年3月31日までの間の取得等したもの)③その他 中小企業が一定の要件を満たした新規に導入する機器にかかる固定資産税の税率を0.7%からゼロに減額可能。納税者本人の給与収入配偶者控除額 70歳未満 70歳以上 38万円 48万円 26万円 32万円 13万円 16万円1,120万円以下1,170万円以下1,220万円以下1,220万円超適用なし適用なし配偶者の給与収入150万円以下150万円超201万円以下201万円超配偶者特別控除額納税者本人の給与収入(目安) 1,120万円以下 1,170万円以下 1,220万円以下 38万円 26万円 13万円 段階的に逓減 段階的に逓減 段階的に逓減8すわほうじん 第135号 (第三種郵便物認可) 平成30年2月1日発行
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