すわほうじん134号
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税理士会コーナー知って納得!教えて税理士さん!関東信越税理士会諏訪支部飯田 昭男ビットコインを使用することにより利益が生じた場合の課税関係について 最近、新聞等のメディアに「仮想通貨」だとか「ビットコイン」ということばが頻繁に登場する機会が増えてきたように思えます。みなさんの中にも、すでに「ビットコイン」による資産運用をされている方も少なからずいらっしゃるのではないでしょうか。その相場はかなりの過熱感もあるようです。今年の年初には9万円/1ビットコインだったものが、たった数ヶ月で50万円/1ビットコインまで高騰しています。また、この50万円までに達する間もかなりの乱高下を繰り返してきているようです。このような状況の中、多くの含み益を抱えている方、また既に利益を確定した方もたくさんいらっしゃるのではないでしょうか。ビットコインによる運用をしている方は、この「ビットコイン」での利益についての課税関係はどうなるのか気になる方も多いことでしょう。 そこで、今回はこの「ビットコイン」の運用で発生した利益についての課税関係を整理していきたいと思います。 これまで国税庁は、「ビットコイン」の課税について統一的な見解を示しておらず、各税務署によって判断が異なっていたケースもあったようですが、9月8日、仮想通貨の一つである「ビットコイン」の税区分について雑所得にカテゴライズされると同庁が開設するタックスアンサーで公表され、統一した見解が示されました。1)ビットコインを日本円に換金(社長)10万円で購入した1ビットコインを仮想通貨取引所で売却し、日本円50万円と交換した場合の所得はどうなりますか?(税理士)40万円(50万円ー10万円)が雑所得とされ所得税と住民税が課税されます。なお、所得税は社長の所得に応じ超過累進税率により課税されます。以下同様。2)ビットコインで資産を購入した場合(社長)10万円で購入した1ビットコインがその後30万円に高騰し、そのビットコインによりビックカメラで30万円のノートパソコンを購入した場合にも課税されますか?(税理士)20万円(30万円ー10万円)が雑所得とされ所得税と住民税が課税されます。3)ビットコインを他の仮想通貨とトレードした場合(社長)10万円で購入した1ビットコインがその後50万円に高騰し、そのビットコインをビットコイン以外のイーサリアムやリップル等の仮想通貨50万円分と交換した場合にも課税されますか?(税理士)40万円(50万円ー10万円)が雑所得とされ所得税と住民税が課税されます。※なお上記1から3に該当する場合、ビットコインの換金等に係る手数料等は必要経費として控除されます。4)ビットコインを保有しているのみ(社長)年初に10万円で購入したビットコインを年末においてもそのまま保有しています。その評価額は50万円になっているようですが、申告した方がよろしいでしょうか?(税理士)申告は必要ありません。単にビットコインを購入、保有している状態ではたとえ含み益が生じていても課税対象とはなりません。5)ビットコインが値下がりして損失が出た場合(社長)先日50万円で購入したビットコインが大きく値下がりし、30万円で売却したため20万円の損失となりました。確定申告をすれば給与と相殺できますか?(税理士)残念ながら給与など他の所得と損益通算することはできませんので、損失は切り捨てとなります。ただし、同じ雑所得で利益が出ていれば雑所得どうしで損益通算はできます。また、「申告分離課税」とされるFXや株式との損益通算も認められず、たとえ損失が出たとしてもFXや株式のように翌年以降に損失を繰り越して翌年以降の利益と相殺(繰越控除)することも認められていません。6)ビットコイン以外の仮想通貨の取扱い(社長)自分はビットコイン以外の仮想通貨を保有していますが、今回の課税の取扱いはあくまでビットコインだけの取扱いですか?(税理士)いいえ。タックスアンサーでは「ビットコイン~の課税関係」というタイトルですが、ビットコイン以外に多数ある仮想通貨についても、基本的には同様の課税関係になるものと考えられます。 雑所得は「総合課税」といって、他の総合所得(配当・不動産・事業・給与・総合譲渡・一時)と合算されて、所得税では超過累進税率(5%~45%)が適用され、これに住民税の10%(一律)を合わせた(15%~55%)が課税されます。 ビットコインに関し、次のような取引を行った場合、課税関係がどうなるのか確認していきたいと思います。「平成29年4月1日現在法令等」 ビットコインは、物品の購入等に使用できるものですが、このビットコインを使用することで生じた利益は、所得税の課税対象となります。 このビットコインを使用することにより生じる損益(邦貨又は外貨との相対的な関係により認識される損益)は、事業所得等の各種所得の基因となる行為に付随して生じる場合を除き、原則として、雑所得に区分されます。(所法27、35、36)─ ビットコインを使用することにより利益が生じた場合の課税関係 ─5すわほうじん 第134号 (第三種郵便物認可) 平成29年11月1日発行

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