すわほうじん133号
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税理士会コーナー知って納得!教えて税理士さん!関東信越税理士会諏訪支部両角 美智代経営力向上計画を策定しませんか!中小企業等経営強化法に基づく「経営力向上計画」を策定し国の認定を受けると税制措置や金融支援が受けられます。税制措置とは、平成29年度税制改正で拡充された固定資産税の特例と中小企業経営強化税制です。このうち固定資産税の特例では、これまで対象設備が工場で使われるような機械装置に限定されていたため、認定事業者の約75%が製造業と、利用業種が偏っておりました。製造業・非製造業を問わず、幅広く中小企業の経営力向上を後押しするため、商店や飲食店でも使われるような冷蔵陳列棚や空調設備といった器具備品や建物附属設備にも対象を拡充することとしました。これにより、中小企業の雇用の約7割を占めるサービス業においても利用しやすい制度になりました。今号では、この固定資産税の特例制度について詳しく解説します。社長)固定資産税の特例制度について教えてください。(税理士)この制度は、中小企業が中小企業等経営力強化法の認定を受けた経営力向上計画に基づき一定の設備を新規取得した場合に、その設備に係る固定資産税が3年間2分の1に軽減される措置です。(平成31年3月31日までの取得等)(社長)対象事業者とは、どのような企業ですか?(税理士)資本金1億円以下の法人や従業員数1,000人以下の個人事業主といった税法上の中小企業です。(社長)対象設備とは、どのような設備ですか?(税理士)下表に掲げる設備のうち、生産性を高めるもの、すなわち①一定期間内に販売されたモデルであること、それから②生産効率やエネルギー効率など、経営力の向上に資するものの指標が旧モデルと比較して年平均1%以上向上している設備であること、以上2つの要件を満たしている設備が対象となります。この2つの要件について、設備メーカーを通じて工業会から証明書を取得する必要があります。(社長)平成29年度税制改正で新たに対象に追加された測定工具及び検査工具、器具備品、建物附属設備については、一部の地域について対象業種が限定されると聞きましたが…?(税理士)まず、①設備の種類を確認してください。機械装置であれば全国・全業種で対象です。測定工具及び検査工具、器具備品、建物附属設備の場合は、②設備の所在地を確認してください。この設備の所在地が埼玉県、千葉県、東京都、神奈川県、愛知県、京都府、大阪府、以上7都府県に所在する設備については、対象業種が限定されますので、③対象業種を確認してください。7都府県 従来の中小企業投資促進税制の上乗せ措置(即時償却又は税額控除)は、最新モデル要件が含まれておりましたが、平成29年度の税制改正で最新モデル要件はなくなり、要件が固定資産税の特例と一致しました。このため、工業会証明書1枚で、固定資産税の特例と中小企業経営強化税制のA類型両方に使用することができます。是非「経営力向上計画」を策定し、ご活用ください。お得な税情報機械装置(160万円以上/10年以内)測定工具及び検査工具(30万円以上/5年以内)器具備品(30万円以上/6年以内)建物附属設備(60万円以上/14年以内)対象設備外の40道県に所在する設備については、全業種対象です。③の対象業種の確認については、中小企業庁ホームページにリストが公表されています。なお、対象地域・業種については、2年間変更しないこととしています。また、建物附属設備の場合、設備の内容や所有者によっては償却資産ではなく家屋に含めて評価される場合があります。この税制の対象となる建物附属設備は、償却資産として課税されるものに限ります。(社長)具体的な適用手続きについて教えてください。(税理士)次の手順で行ってください。①設備ユーザーである事業者から設備メーカーを通じて工業会へ証明書発行を依頼②工業会証明書を取得した事業者は、工業会の確認を受けた設備を経営力向上計画に記載し、計画申請書に工業会証明書の写しを添付して主務大臣に申請③計画が認定された場合、主務大臣から計画認定書と計画申請書の写しが事業者に交付④税務申告に際しては、納税書類に工業会証明書、計画認定書、計画申請書、それぞれの写しを添付して市町村に提出(社長)購入時期について注意点はありますか?(税理士)経営力向上設備については、経営力向上計画の認定後に取得することが原則です。認定までに約1ヶ月程度かかりますので、早めにご準備ください。なお、原則に従うことができず、認定を受ける前に設備を取得する場合には、設備取得日から60日以内に経営力向上計画の申請が受理される必要があります。この場合、固定資産税の賦課期日は毎年1月1日であることから、遅くとも設備を取得した年の12月31日までに認定を受ける必要があります。年内に認定が間に合わない場合、減税の期間が2年間となりますのでご注意ください。 その他、リースの場合等、詳細については中小企業庁ホームページをご参照ください。7すわほうじん 第133号 (第三種郵便物認可) 平成29年8月1日発行

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