すわほうじん132号
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事業継続要件である5年以内の間に経営環境が変化(事故、災害、取引先の倒産等)した場合も原則として雇用要件が課されることを踏まえて、災害や取引先の倒産等が生じた場合にも対応できるよう、影響の程度に応じて雇用要件等を緩和するセーフティネット規定が整備されます。災害で被害を受けた場合は、雇用要件の免除等により納税猶予の取消リスクを軽減し、災害・事故・取引先の倒産等で売上高が減少した場合は減少割合に応じて雇用要件が緩和されます。 医療費控除又は医療費控除の特例(セルフメディケーション税制)の適用において、確定申告書の提出の際に必要な、現行の「医療費の領収書又は医薬品購入費の領収書の添付又は提示」が、「医療費の明細書又は医薬品購入費の明細書の添付」に見直されます。 これにより、確定申告において領収書の添付等は不要となり、明細書の添付のみで医療費控除又はセルフメディケーション税制が適用できます。ただし、確定申告期限等から5年間、税務署から医療費等の領収書の提示又は提出を求められた場合は、領収書の提示又は提出をしなければなりません。適用時期 平成29年分以後の確定申告書を平成30年1月1日以後に提出する場合について適用されます。なお、平成29年分から平成31年分までの確定申告については、領収書の添付等でも、医療費控除又はセルフメディケーション税制が適用できる経過措置が設けられています。2.医療費控除・セルフメディケーション税制の添付書類の見直し1.非上場株式等に係る相続税・贈与税の納税猶予制度の見直し 相続・贈与税関係(1)災害や取引先の倒産等の影響による雇用要件等の緩和措置 早期かつ計画的な事業承継の促進のため、生前贈与へのインセンティブを強化し、新たに贈与税の納税猶予制度と相続時精算課税制度との併用が認められます。この見直しにより、仮に事業継続要件である5年以内の間に雇用要件等を満たせずに納税猶予が取り消された場合でも、相続時精算課税制度を利用して税負担を軽減させることができます。(2)贈与税の納税猶予制度と相続時精算課税制度が併用可能に 企業の人手不足における影響などを考慮し、雇用要件における、雇用の8割以上を5年間平均で維持する計算方法を見直し、従来は端数を切り上げていたところを、端数を数えないことになります。これまでの端数切り上げでは、例えば、従業員数が2~4人の会社の場合、1人でも従業員が減ると要件を満たしませんでしたが、端数を数えない形とすることで1人減った場合でも要件を満たすことになります。(3)雇用要件の計算方法の見直し2人→1人3人→2人4人→3人5人→4人50%67%75%2人→1人3人→2人4人→3人5人→4人50%67%75%【現 行】【改正案】雇用要件の見直し(従業員数5人以下のケース)(注)従業員1人の企業が従業員ゼロになった場合には、納税猶予制度は適用できません。(4)認定相続承継会社の要件の見直し 現行制度では、贈与税の納税猶予制度の適用を受けた後、事業承継後5年が経過しても、先代死亡時に相続税の納税猶予制度へ切り替えるには、引き続き中小企業であることや非上場会社であることが要件となっています。これらの要件は企業の成長を阻害しかねないため、廃止されます。適用時期 平成29年1月1日以後に相続もしくは遺贈又は贈与により取得する財産に係る相続税又は贈与税から適用されます。適用時期 平成29年1月1日以後に相続等により取得した財産の評価に適用されます。2.相続税等の財産評価の適正化 取引相場のない株式の評価について、上場会社のグローバル連結経営の進展や、株価の急激な変動が、中小企業の円滑な事業承継を阻害することなく、中小企業等の実力を適切に反映した評価となるよう見直されます。 具体的には、類似業種比準方式について、以下の見直しが行われます。 ①類似業種の上場会社の株価について、現行に「課税時期の属する月以前2年間の平均」が加えられます。 ②類似業種の上場会社の配当金額、利益金額、簿価純資産価額について、連結決算が反映されます。 ③配当金額、利益金額、簿価純資産価額の比重について、1:1:1(現行は1:3:1)とされます。 また、評価会社の規模区分の金額等の基準について、大会社及び中会社の適用範囲が総じて拡大されます。80%80%4すわほうじん 第132号 (第三種郵便物認可) 平成29年5月1日発行
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