すわほうじん132号
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税理士会コーナー知って納得!教えて税理士さん!関東信越税理士会諏訪支部飯田 昭雄~所得拡大促進税制~ 給与の支給額が前年度より増加している場合、所得拡大促進税制の適用を検討しましょう。 もうすぐ3月決算法人の申告時期が到来します。黒字決算法人の割合もここ数年増加しており、企業によっては賃上げを実施している企業も多く見受けられます。その一方で、中小企業については、なかなか平均給与が上がらない状況も否めません。そんな中打ち出された政策の一つに所得拡大促進税制があります。 所得拡大促進税制は、賃上げを行った企業へのインセンティブ機能を強化する観点から、平成25年度税制改正で創設されました。当初3年間の時限措置でありましたが、平成26年度、平成27年度の税制改正で要件緩和と2年間の期限延長がされています。 もっとも早く適用が始まる3月決算法人においては、平成29年3月期決算は4回目の適用を迎えることになります。そこで今号では、所得拡大促進税制の内容をQ&Aにより今一度、整理・確認していきたいと思います。(社長)適用年度において事業主都合の離職者がいますが本制度を適用できますか?(税理士)そのような制限は受けませんので、3要件さえ満たせば適用できます。(社長)新規雇用に際し、助成金を受給していますが本制度を適用できますか?(税理士)助成金を受けている場合も適用できますが、実際に支給した給与等の額から助成金の支給額を控除して、要件の判定や控除を受ける金額の計算を行うことになります。(社長)設立1期目ですが、本制度を適用できますか?(税理士)適用できます。新設法人は、基準事業年度及び前事業年度がありませんので適用がないように思われがちですが、一定の調整計算のもと適用が可能です。(社長)賞与の支給も給与等に集計されますか(税理士)集計されます。賞与が前事業年度より増加している場合は適用できる可能性が高くなります。― 平成29年度税制改正 ―なお、平成29年度税制改正においても、更なる賃上げインセンティブが与えられることになりましたので、今後賃上げを検討されている企業のみなさんは本制度を有効に使えるよう確認しておきたいものです。【所得拡大促進税制の要件】(前事業年度)対基準年度増加額(基準年度)(5,000万円)(5,500万円)(要件①)(要件①)(6,000万円)(要件②)(要件③)(要件③)対基準年度増加額平均給与等支給額平均給与等支給額平均給与等支給額雇用者給与等支給額(ウ)雇用者給与等支給額(イ)雇用者給与等支給額(ア)(適用事業年度)上記の図表の例では税額控除額は100万円となります…(6,000万円-5,000万円)×10%ただし法人税額の10%(中小企業者等は20%)を上限※詳しくは経済産業省「所得拡大促進税制のご利用の手引き」をご参照ください。(社長)事前の申請は必要ですか?(税理士)雇用促進税制のように事前の申請等は必要ありません。ただし、確定申告書に一定の明細を添付する必要があります。(社長)役員やその親族の給与等を増加させた場合も適用になりますか?(税理士)役員やその親族の給与等増加額はカウントされません。役員等は対象から除かれます。(社長)適用の可否を判断する効率的な手順を教えてください。(税理士)中小企業を例にとると、まず3つの要件のうち、①適用事業年度の従業員の給与等の額が基準年度(平成24年度)より3%増えているかを確認し、かつ、②前事業年度より給与等が増えているかを優先的に確認します。要件③の平均給与等支給額の判定は複雑になるのでせっかくの集計作業が無駄にならないよう最後に確認するのがよいでしょう。お得な税情報(社長)制度の内容を簡単に教えてください。(税理士)雇用者への給与等の支給額を一定割合以上増加させる等の要件を満たした場合、その増加額の10%を法人税額から控除できます(税額の10%(中小企業者等は20%)が上限)。要件は①~③のすべてを満たす必要があります。【3要件】要件① 支給増加額((ウ)-(ア))が(ア)に対して一定割合(増加促進割合)以上増加要件② (ウ)が(イ)を下回らない要件③ 適用事業年度の平均給与等支給額が前事業年度の平均給与支給額を上回ること(継続雇用者のみ判定)11すわほうじん 第132号 (第三種郵便物認可) 平成29年5月1日発行

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